太平洋の覇者

 　ええとですね、遙かな昔、まだ、私たちが御大佐藤大輔氏を偉大だと崇めていた頃、『パシフィックストーム（以下ＰＳ）』という仮想戦記が存在しました。ま、現状、新作は出ないし、漫画原作でいろいろあったし、あの頃の熱い日は二度と戻っては来ないでしょうが。
 　現在はともかく、過去の作品は偉大です。その『ＰＳ』が、何をやったかと言いますと、太平洋戦争時のアメリカの国力を削ぐために、アメリカを分裂させるという、当時、日本の国力を上げることに汲々としていた仮想戦記の中、目から鱗の代物でした。（あとは『八八歓待物語』のように日本が負けちゃうのも衝撃的でしたね。）
 　というわけで、この作品は、その衣鉢を告いだ作品と言えるでしょう。アメリカがツングース級の隕石食らって分裂。で、英日南部米にかなわなくなる前に北部米が奇襲をかけるという。あちこちの改編が非常に楽しく、そしてそれがわからないとなんだかなな作品。いえ、面白いんですが、１冊完結は無いでしょう。１冊完結は。いくらでも膨らまし様はあったと思うんですが。