さて、あるところに怠け者の王に仕える目覚まし時計がおりました。
目覚まし時計は、怠け者で仕事に行きたくない王をおこすのが仕事でした。
ところが、ある日手荒に扱われた目覚ましは裏蓋が外れ、電池がずれてしまい、そのせいか、15分ほど進んでしまったのです。次の朝、目覚ましの通りに起き出した怠け者の王様は事実を知って大変怒り、
「もう、15分寝ていられたのに」
そう、そのことをずっと根に持っていました。
もう一つ、寝室の掛け時計がおりました。彼は居間の掛け時計が古くなって常に5分も10分も進むようになっても、正しい時刻を示していたので、王様の信頼が一番厚い掛け時計でした。
(といっても二つしかないんですけどね)
去年の末に居間の時計は引退し、電波時計のリキクロックにその座を譲ったのですが、寝室の時計への王様の信頼は揺らぐことはありませんでした。
そして、今日、朝の5時過ぎに目覚めた王様は目覚ましが5:15分、掛け時計が5:00になっていたのを確認して舌打ちをしました。
「また、進んでいるじゃないか」
そう言うと王様は乱暴に目覚ましを直して2度寝してしまいました。
そして、いつも通り、目覚ましの音に起き出して、居間へ向かうと、世界は瞬時に15分進んでしまったのです。
居間の掛け時計は電波時計です。狂っているはずがありません。
「!?」
声にならない声をあげ、いくつかの朝の儀式をすっ飛ばして、王様は仕事へ向かったのでした。
どっとはらい。
教訓1 二つの時計の時間が違っていたらもう一つの時計を見ましょう。
教訓2 時計の電池はまめに交換しましょう。
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