なんでも、星新一氏の作品『生活維持省』に似ている漫画『イキガミ』というのがあるそうです。
まあ、SFというもののネタは、ガミガミ言っても仕方がない物であって、宇宙船や異種間恋愛なんて話は全部『竹取物語』のパクリ。なんて言うと、タニス・リーあたりも困ってしまうわけです。
星新一氏ご自身も1000作書かれた後でこんな凄い作品を書かれています。
凄まじい数の小説を書いた大作家が、出版社に電話をします。
「君のとこでだした雑誌に載っている小説。あれは私が昔書いた小説に似ているんだが」
出版社はビックリしますが大作家の作品は1000以上あるので確認のしようがありません。そこで、ハムやコーヒーの詰め合わせを送ってきます。
実は大作家も1000作も書いたので、あらかた自分の書いた物を忘れていて、適当な作品を選んではいたずら電話をしていたのでした。
これを読んだときは凄いと思いました。よくぞここまで書けると思いました。そういう人ですから、星新一氏は『イキガミ』読んでもなんにも言わなかったと思います。
ただ、信じられないのは、小学館側の作者も担当編集者もあの名作『ボッコちゃん』(『生活維持省』が収録されている名作短編集)を読んだ事がないと反論にはっきり書いてある事です。
いや、それはクリエイターとしてどうよ。そう思ってしまうのですが。
しかし、星氏のお嬢さんも良くできた方ですね。この対応、一分の隙もない。訴訟沙汰にせず、ネット上でしっかり対応し話し合う。どうみても横綱相撲です。この結果、小学館側の「違うから違うんだ」という子供じみた主張があからさまになってしまいました。
夢枕獏氏の獣化兵とか、荻野真氏の孔雀王とかのように、最初からきっちりしとけば良かったのに。最初のボタンの掛け違いって怖いですね。
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