東郷隆。私たちにとって、なんか甘酸っぱい思いがするお名前です。世界ではじめてソ連の新型自動小銃AK-74を世界に向けて報告したジャーナリストにして、『定吉七番』シリーズの作者。当時、仲間内では随分と有名でした。(定吉は、メカニックマガジンの連載とどっちが早かったのだろうか)
ところが、氏の名前が我々の友人の間で禁句になる日がやってきます。
時代小説に転向した氏の作品紹介から、『定吉七番』の記述がすぽーんと抜けていたのです。
似たような事をなさった、某ピカレスクロマン作家の方と一緒にして、我々は憤慨しました。ま、青春の正義感とでも言う物の発露だったのでしょうか。
しかし、この誤解、後日あっさり解けます。
ハドソンに「定吉七番」をゲーム化された時に商標登録されてしまったため、原作者が続編を出せなくなった。という。
いかにも『定吉七番』の作者らしいと言うか。戦場ではテンションがフルアップなので、平和な場所ではテンションがフルダウンする人というか。
ともかく、『人造記』以来の活躍はすばらしい物がある氏の最新作。南方熊楠がビクトリア朝のイギリスで、行きがかり上巻き込まれた謎を解く短編集。
いや、たまりません。そうなんですよね。この人、シャーロック・ホームズと同時代のロンドンに住んでいたんです。非常に良書。週末の午後を楽しませてくれた作品でした。
コメント